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高沢英子

Author:高沢英子
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日本民主主義文学界会員。メイ・サートンの会代表。詩誌「鳥」同人。メールマガジンオルタ同人。

著書:「アムゼルの啼く街」芸立出版「京の路地を歩く」未知谷
 
俳句雑誌「芭蕉伊賀」、メールマガジン「オルタ」「民主文学」「婦民新聞」などに寄稿。

現在、難病の娘の家事手伝いと孫息子の育児支援中。 

東京都大田区在住。


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わが街かわら版 ⑪号8月    高沢英子
  わたしの宝箱から 
   ⑪作家松田解子という奇跡
間もなく七十二年目の敗戦記念日が来る。長崎と広島二都市に原爆が落とされ、沖縄の島民を捲き込んだ無惨な死闘とその壊滅。多数の国民が生き地獄を体験した果てに、漸く迎えた国の終戦(実は敗戦)記念日。真の責任者は誰か。誰も本気で追及せず、できない不思議な国。  
かつてオランダの世界的ジャーナリスト、カレル・ウォルフレンが喝破したように、民主主義の育たぬ「シカタガナイ」が合言葉の日本でまた新たなひずみが噴き出し、為政者のやりたい放題は手が付けられない状態だ。
平成四年、百歳を目前に世を去ったプロレタリア作家松田解子は、昭和二十年五月、中野区江古田の空襲で家を焼かれ、すべてを失ったが、二〇一一年、戦争末期から敗戦の秋までの日記風メモが大切に残されていたのを遺族が見つけ、雑誌「民主文学」に掲載された。身重の身で家を失い、飢餓に苦しみつつ、精神の高さを保ち人間らしく生きんと志す文言が随所に記されている。敗戦直後の女児出産の状況描写も生々しい。
一九〇五年秋田の荒川銅鉱山に生まれ、過酷な生い立ちのなか文学に目覚める。中年期、真実に生きる道を模索、苦悶した時期も乗り越え、三児の母として、晩年は病弱だった夫を支え、家族への誠実心は失わなかった。
大作「地底の人々」「おりん口傳」他多くの名作を世に送り、筆力識見ともに一流だった彼女の辞書に「シカタガナイ」という言葉はない。戦後、松川事件では十九名の被告の無実を訴え被告人の文集「真実は壁を透して」(月曜書房)編集、作家宇野浩二、広津和郎らを動かし最終的に全員無罪をかち取る。安保問題、花岡鉱山の中国人労働者の遺骨収集など、その働きは国境を超え、常に働く者の側に立ち、人権を踏みにじり、民主主義の根幹を脅かす案件には先頭に立って後進を励まし、自ら果敢に戦った。作家でなく「足家」と自称。体制側の暴虐と欺瞞を許さぬ渾身の働きで弱者の立場を守ろうとする優しさと真心に溢れていた。  
日本人の身で、サルトルが提唱したアンガージュマン(知識人の社会及び政治参加)の精神を、まさに真摯に貫いた奇跡の女性だったと思う。
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